米国の防衛産業でも勝組・負組の差が出てきています。
その一因としてロッキード・マーチン[LMT]のステルス戦闘機F-35シリーズの製造に携わっている企業は業績も安定している傾向があります。
ボーイング[BA]の決算書を読み込んでもF-35関連の記述は出てきません。なぜでしょうか?
実はボーイングはロッキード・マーチンとステルス戦闘機の採用を競い不採用になってしまったからです。
1990年代からアメリカ軍は多数運用している戦闘機の種類を減らす計画をスタートしました。「JSF Joint Strike Fighter(統合攻撃戦闘機)」と呼ばれるプログラムです。
アメリカ空軍・海兵隊・海軍の戦闘機を統合しコスパに優れた機種を採用する計画です。
ボーイング陣営はユニークな外観のX-32の試作機を開発しました。
ロッキード・マーチン陣営はX-35の試作機を開発しました。(現在のF-35とそんなに形状が変わりません。)
採用が決定された機種のメーカーが製造を請け負う「勝者総取り方式」の為、両社とも熾烈な開発競争が繰り広げられました。
レーダーに映りにくいステルス性能はボーイングX-32の方が高かったようですが、総合判定の結果ロッキード・マーチンX-35に決定しました。
この後、ボーイングは旅客機部門に力を入れ始めます。2018年頃までかなり好調でしたが、737-MAXの墜落事故とコロナ禍の為に旅客機の需要が落ち込み低迷しています。